もはや第2だけではない! 〜皮膚は第3の脳〜

最近分かってきたこと

長い間皮膚は身体の膜と考えられてきました。しかし最近、皮膚は脳に大きな影響を与えていると考えられています。皮膚の感覚は脳の体性感覚野で処理されますが、その面積は脳内で大きな割合を占めていて、脳への影響は大きいと言えます。

皮膚のすごい機能

さらに研究がすすみ、皮膚自体がホルモンを生成し、脳に影響を及ぼすと分かってきました。その上、表皮細胞には温度や湿度、光や音などを感知できる機能があることも分かってきました。皮膚は微細な刺激は脳での判断を必要とせず、独自の情報処理を行なっている可能性があります。このことから、同じく脳からの影響、脳への影響が大きい腸や手が「第2の脳」と呼ばれるのに続いて、皮膚が「第3の脳」と呼ばれるようになってきました。

肌ざわりが心地よいと・・・

皮膚が感じる「心地良さ」と脳の関係について、柔らかな肌着とゴワゴワの肌着を比べる実験をしたところ、柔らかな布はストレスを軽減させることが分かりました。また、ある実験では、左手を氷水に浸けた状態で、右手で好きな素材あるいは嫌いな素材に触ってもらい、左手が感じる痛みをそれぞれ計測して比較したところ、好きな素材を持っている時は痛みが軽減されました。肌触りの良さを感じると幸せホルモンが生成され、ストレス軽減につながるのです。

皮膚は病気との関連も

皮膚感覚は脳の働きに大きな影響を与えているので、必然的に心の状態にも反映されます。例えば、摂食障害の患者は皮膚感覚に鈍いことや、発達障害や認知症の患者が皮膚感覚に問題があることも分かってきています。考えてみれば、古くから行なわれている鍼灸は、皮膚への刺激によって病気を治すために用いられてきたのです。皮膚は脳だけでなく心とも深い関わりがあるのです。

    

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