AIとテクノロジーが導く…未来の健康対策

フードテック

AIや科学技術の波はもちろん健康分野にも及んでいます。それを象徴する言葉が「フードテック」です。フードテックとは、食を表すフードと、テクノロジーを組み合わせた造語です。この分野で勢いを見せているのが食のパーソナライズ化(個人化すること)です。

万人向けの対策は効果がない

これまで必要な栄養素といえば、国が示す食事摂取基準のような一般的なデータや、平均値を基準とするのが主流でした。しかし、体型や体質は一人ひとり違い、平均を目指すことが必ずしもよいとは限りません。研究や実験においては、画一的な栄養摂取基準や平均データに基づく栄養摂取では、万人に同様の効果をもたらすことは不可能であるとの結論に至っているのです。

個人化によって、より効果的な対策を

栄養や食事への取り組みは個人個人に違いがあってしかるべきなのです。そこで、AIによって個人個人の目標達成に必要な栄養素を解析し、個別に最適化された食事の提案を行うサービスが始まろうとしています。例えば、一般的には血圧が高い人に塩分は良くないとされますが、人によっては「塩分を摂ったほうが改善する」とAIが解析し、実際に塩分を減らさないAI食を摂ったところ、見事に血圧降下に成功したケースなどがあるのです。

塩分を減らせるスプーン

とはいうものの、塩分を減らす必要のある人は多く、そうした人たちのために、電流の仕組みを利用した、塩分を取り過ぎないようにできるスプーンが開発されました。このスプーンを使うと塩分を30%減らしても、塩味を1.5倍強く感じられるのです。じつは食べ物は舌を通過する時に一部だけが知覚され、知覚できずに通過する味が大部分を占めています。塩の素となるナトリウムイオンの動きを電流によってコントロールし、通過してしまう塩分を集約して知覚できるようにすると、舌で感じられる塩味が強調されるのです。

    

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