「脳と腸」・・・一方通行ではない関係とは?
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不安や緊張を感じると、おなかが痛くなりトイレに行きたくなる、また、進学や就職などで自身の生活環境が変わった時などは便秘しやすくなる、旅行中には便秘しがちなど、そのようなことは自分や周りの経験談としてよくあることでしょう。このように、以前から脳が腸の状態に影響を及ぼすことは知られていました。
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しかし最近は、脳と腸の関係は、脳から腸へという一方通行の影響だけではなく、腸の状態のさまざまな変化が脳に伝わり、気分や感情という心の状態にも影響を及ぼす、つまり腸も脳に影響を与えていることが分かってきました。腸は食べ物を消化して栄養素を吸収する消化器官ですが、その役割に加えて免疫機能やホルモンの働きが発達している重要な器官と明らかになってきました。
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腸は体の中にありますが、その内側は外界に曝されており、食べ物だけでなく、細菌やウイルスなどさまざまな病原体と常に接しています。そうしたことから、さまざまなリスクに対応できる態勢がとられています、つまりそれが免疫です。腸には体全体の半数以上の免疫細胞が存在して、腸管免疫系という独自の免疫系が発達した最大の免疫器官でもあるのです。
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また、私たちの体内では体のさまざまな働きを調節するホルモンという物質が分泌されています。ホルモンの分泌により、体の外や内でなんらかの変化が起きても、体の働きが常に同じになるように保たれています。例えば、私たちが「おなかが空いた」と空腹感を覚えるのは、腸から分泌される食欲を促すホルモンが「空腹だから何か食べて」という信号を脳に伝えるからなのです。この脳と腸が互いに影響を及ぼし合う関係を「脳腸相関」と言い、最近の注目すべき健康テーマとなっています。
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