健康診断では発見されにくい ―かくれ貧血―
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貧血は血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが不足した状態を指します。ヘモグロビンは、体内の鉄とたんぱく質が結びつき、酸素を運搬する役割を担っています。不足すると十分な量の酸素が体内に行き届かなくなります。ただし、ヘモグロビン量の数値は、健康診断での血液検査に含まれていることも多いです。
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ヘモグロビン数値が基準値内だからといって、貧血の心配が全くないとは言えません。ヘモグロビンが足りていても、体内にストックされている鉄分が不足している状態の人も多くなっています。これがいわゆる貧血予備軍、つまり「かくれ貧血」です。月経がある女性のうち貧血と診断される人の割合は約10〜20%で、かくれ貧血を含めればさらに多くの人が貧血を心配すべき状態です。
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そのカギとなるのがフェリチンと呼ばれる物質です。フェリチンは、主に肝臓にストックされているたんぱく質の一種で、細胞内に鉄を貯蔵し、必要に応じて利用できるよう調節する働きを持っています。体内でヘモグロビンが作られる際に血液中の鉄分が足りないと、フェリチンとしてストックしてある鉄分が利用されるという仕組みになっています。そして、体内の鉄分量を調整しているフェリチンが減少し過ぎると、かくれ貧血となるのです。
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かくれ貧血の状態になると体力の低下を感じることが多いようです。しかも、かくれ貧血は貧血と同じような不調を引き起こすケースもあります。皮膚や爪が弱くなる、舌や口の中が荒れる、食欲低下や氷を好んで食べるようになる、イライラしやすくなる、足がムズムズする、などの症状が出るのです。体調不良を感じて、貧血ではないかと不安を抱いている人は、内科や婦人科などで血液検査を行う際にフェリチンの数値も出してもらえるよう相談してみましょう。
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