テクノロジーで女性を救う? 「フェムテック」


最近の造語

フェムテックはfemale(女性)とtechnology(科学技術)とをつなげた造語です。女性の健康問題を解決するために開発されたテクノロジーのことを意味し、2010年代になって造られた言葉です。

性差医療

それに先立つ1990年代から、性差を重視して適切な診断と治療を進める「性差医療」が意識されるようになりました。それまでの医学では女性は「小さい男性」と位置づけられてきました。生殖機能に関しては男性と女性に大きな違いがあるとされてきましたが、そうしたことと関わりのないほとんどの病気は、発症の仕組み・予防法・治療法などに、男女の違いはないと考えられてきたのです。

研究対象は男性

女性には月経や妊娠があるため、医療の実験や治験は動物のオスや男性で行われることが多く、長期にわたって行われる医学調査も男性が対象となることがほとんどでした。ほとんどの病気について、女性は男性を対象とした研究から導き出された予防法や治療法を適用されてきたのです。体格の差を考慮して、女性への投薬量を男性より少なめにするといった程度のことしか配慮されてきませんでした。その結果、女性により強い副作用がでたり、効きめが強すぎたりする薬剤が開発されてしまうこともあったのです。

性差医療からさらに進んで…

男女差に注目した性差医療が意識されるようになり、最近では女性の体と心をトータルに診る「女性外来」が多く見られるようになりました。こうした状況からさらに一歩進んだといえるのがフェムテックです。病院に何度も行かずとも、技術の力でより身近に女性特有の問題に対処できるようになります。さらに、医療が今まであまり気にしてこなかった「快適さ」にもフェムテックは着目しています。

   

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