感染症の危険性をしっかり認識しよう

人も動物も

ペットは飼い主にとってかけがえのない存在ですが、過度の触れ合いをすると、ペットからうつる感染症にかかる危険性が上がります。これは「ズーノーシス」と呼ばれ、人も犬や猫などの動物も感染する病気(人獣共通感染症)です。世界にはそれが200種類以上あり、日本にも25種類ほどあるといわれています。

ズーノーシスの増加

近年ますますペットと人間が一緒に寝たり食事をしたりするなど接触の度合いが増えて、感染が広がりやすくなっています。その1つの例がパスツレラ症です。1991年と比べて2011年の症例数は10倍ほどにもなっているのです。猫のほぼ100%、犬の約75%が口の中に原因菌を保有していて、これに感染すると皮膚の化膿や呼吸器不調の症状がでます。咬まれたり引っかかれたりして感染するほか、寝室に入り込んだペットが寝ている飼い主の顔を舐めたことで感染する例もあるのです。

感染を防ぐには

こうした接触によって感染する病気は他にもあります。関節炎や倦怠感を引き起こす「Q熱」、皮膚の化膿やリンパ節の腫れなどの症状が見られる「猫ひっかき病」などです。こうした感染を防ぐには、過剰な触れ合いを控えることが重要です。ペットとキスしたり、自分の箸やスプーンで食事を与えたりすることは、感染リスクを高めると自覚しましょう。

重症化に注意

健康な人ならば発症しても自然に治癒しますが、糖尿病などの持病がある人、抵抗力が弱い高齢者や乳幼児など、感染すると重症化しやすいので要注意です。そして、発症例は非常にまれですが、感染して重症化すると死に至る病もあります。しかも、ズーノーシスは初期は発熱や鼻水といった風邪の症状や一般的な皮膚病と似ているため、病気の発見が後れがちになってしまうのです。

   

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