「ぬるい、少し熱い、熱い」で違う! ―お茶―

石田三成の「三献茶」

豊臣秀吉の家臣であった石田三成が、最初に秀吉に会った時のお茶に関するエピソードが良く知られています。狩りをしていた秀吉が立ち寄った寺でお茶を所望しました。寺の小僧だった光成は、まず1杯目にぬるいお茶をたっぷりと出します。次に2杯目には少し熱いお茶を先ほどより少なめに、そして3杯目には熱いお茶を少量出したのです。

お茶は温度で成分が変わる

これは後世の創作とも言われますが、石田三成の気配りのある性格を示すエピソードとされています。実はこれが健康の面から考えてみても良いエピソードなのです。というのも、お茶は入れる温度によって成分の抽出量が変わります。ぬるいお茶はだいたい40度以下くらいとされ、この温度ではカテキンやカフェインの抽出は少なく、テアニンが多く抽出されます。すると、疲れた身体を癒やしてくれるリラックス効果が高くなります。

温度が上がると

少し熱いお茶はだいたい50〜60度くらいで、カテキンが多く溶けるようになります。カテキンは活性酸素を無毒化して疲労回復に効果があるのです。そして、80度を超える熱いお茶になると、カフェインが最大限に溶け出します。カフェインは覚醒効果があり、頭がスッキリする効果があります。このようにぬるいお茶、少し熱いお茶、熱いお茶と、温度によって効果が変わるのです。

温度を下げるコツ

お茶を入れる温度を調整するのは難しいと考えられがちですが、だいたいの温度で良ければ調整はそれほど難しくはありません。まず、ポットや沸かしたやかんから器にお湯をうつすと、それで10度下がります。さらに、別の器にお湯をうつすとさらに10度下がります。そうして、自分が下げたい温度にまで何度か器をうつすと簡単にぬるいお湯にできます。

   

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