蚊による怖い感染症―「デング熱」と「ジカ熱」

蚊は恐ろしい動物

さまざまな動物の中で一番人間を殺している動物はじつは蚊です。蚊による感染症のうち、日本人になじみがあるのは日本脳炎でしょう。たいていは自然治癒しますが、まれにウイルスが脳に侵入して脳炎を起こして重症化します。ワクチンによる予防が第一です。

ヒトスジシマカ

2014年に国内感染が報告されたデング熱は、またいつ国内感染してもおかしくない状態ですし、海外から持ち込まれた例は毎年報告されています。また、日本国内での感染の症例はないですが、2015年に中南米を中心に流行したジカ熱も記憶に新しいところです。日本でジカ熱やデング熱を媒介する蚊はヒトスジシマカで、日本のほとんどの地域に生息しています。

デング熱

デング熱の場合は、発症するとほぼ発熱して38度以上の高熱となり、頭痛や関節の痛みなども起こります。さらに感染者の1〜5%の割合で「重症型デング」が見られます。解熱する時期に突然興奮状態になって、発汗して四肢が冷たくなったり、鼻血や血便などの出血が起こったりします。しかし、医療の発達した現代の日本においては、早めに治療すればそれほど怖い病気ではなく、必要以上に怖がりすぎる必要はありません。

ジカ熱

軽度の発熱、発疹、結膜炎、筋肉痛、関節痛、倦怠感などの症状があり、2〜7日間にわたって症状が続いた後に治り、予後は比較的良好な感染症です。海外で流行したジカ熱が日本でも話題になった理由は、妊娠中の人に大きな影響があるからです。妊娠初期の女性がジカウイルスに感染すると、胎児に感染して小頭症などの先天性障害をきたす危険があるのです。

    

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