心筋梗塞の理由が脂肪?! ―異所性脂肪―

第3の脂肪

脂肪というと、まず思い浮かぶのが皮下脂肪で、これは皮膚の下にある皮下組織につくものです。もう1つの脂肪が内臓脂肪で、これは腸間膜に蓄積されるものです。さらに、あまり聞き慣れないものですが、最近注目され始めた脂肪が異所性脂肪です。

異所性とは?

異所性脂肪は、皮下脂肪や内臓脂肪の脂肪組織に入りきらなくなった脂肪が、本来たまるはずのない部位に蓄積されたものです。心臓などの臓器やその周囲、さらには筋肉(骨格筋)などで、異所性脂肪で今までにも知られているものは脂肪肝です。肝臓の場合は、異所性脂肪と内臓脂肪の蓄積は比例し、内臓脂肪が蓄積されるのと並行して肝臓にも脂肪がたまり、それがのちに肝硬変や肝がんの原因にもなるのです。

心臓の周辺に脂肪がつくと・・・

異所性脂肪は、心臓の周辺、心筋細胞の内や外、心外膜の周囲にも付着します。そうなると、心臓に酸素や栄養を運ぶ血管に悪影響を与えて、最悪な場合は心筋梗塞などを引き起こす原因となります。心臓以外には、骨格筋にも脂肪は蓄積されます。骨格筋とは、骨格に付着して運動をしたり体幹を支えたりする筋肉です。食事で摂取した糖質を吸収してエネルギーとして蓄える働きがあるので、骨格筋に異所性脂肪がたまるとその働きが低下して、インスリンの働きが悪くなり、糖尿病などのリスクが高まります。

太っていない方が心配な場合も

日本人は欧米人に比べて皮下脂肪がたまりにくいと言われています。言い換えると、皮下脂肪組織に脂肪を蓄積する能力が低いということです。それは、皮下脂肪が増えにくい代わりに、内臓脂肪や異所性脂肪が蓄積しやすいことを意味しているかもしれません。少なくとも、日本人はあまり太っていないのに生活習慣病になる人が多いのも事実です。

   

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