これからは疲労も数値化できる時代に


疲れの正体

人が活動をすると筋肉や脳内などで大量の酸素を使い、その過程で活性酸素が発生します。活性酸素は身体に侵入したウイルスなどをやっつける働きがありますが、増えすぎると細胞を傷つけて機能低下を引き起こします。これが疲れの正体です。

疲労因子(ファティーグ・ファクター)

疲れのもとである活性酸素が細胞を錆びさせる際に、酸化した細胞の老廃物から出るタンパク質があります。実験によって、徹夜や激しい運動をした後にはそれが血中に通常の3〜5倍、肝臓や心臓では10倍もの量が検出されることが分かりました。それが疲労因子FFです。あいまいな点が多かった「疲れ」そのものを、客観的に測定できるきっかけになりそうです。

事故防止に役立つかも

このように客観的な方法で疲れを測定できることは、労働者の健康管理を考える労働衛生の分野で役に立つことが期待されています。長距離バスでの事故が問題になっていますが、こうした業務の人たちに対して就業前に疲労因子FFの血中濃度を測定できれば、業務を遂行できるだけの判断力や注意力が備わっているかが客観的に判断できるようになるでしょう。

唾液チェックにも期待

他にも疲れに関する研究が進んでいて、身近に使えそうなのが体内ウイルスをチェックするものです。ヒトヘルペスウイルスは幼少期から人の体内に住み着いて、ふつうの健康的状態では体内で穏やかに暮らしていますが、体調不調になるといち早くそれを察して体内から逃げだそうとするのです。体外に逃げ出す途中の皮膚、それも口唇にヘルペスが出来ることが多いですが、実はその前に唾液に集まります。そこで、唾液のヘルペスウイルス量を調べることで疲れ具合が分かる簡易キットの開発が進められているのです。

    

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