「8時間寝た方が良い」・・・ってウソ?!
|
人が眠気を感じる体内メカニズムは、脳の松果体(しょうかたい)という器官から分泌される「メラトニン」というホルモンが制御しています。実はこのメラトニンの生産量のピークは6歳ころなのです。それ以後は加齢とともに低下して、例えば40代では20代の3分の1ほどに減少します。
|
|
|
「健康のためには1日8時間は寝た方が良い」ということが、睡眠の常識のように言われています。確かにかつては8時間が適正な睡眠時間と考えられていましたが、最近の研究によると、これには科学的根拠がないことが明らかになっています。10年以上にわたる10万人以上を対象にした研究では、死亡率が最も低かったのは、男女とも平日の睡眠時間が7時間(6.5時間〜7.4時間)の人でした。
|
これは日本人に限ったことではなく、米国の大規模調査でも7時間睡眠の人の死亡率が最も低かったのです。睡眠時間ごとの死亡率をグラフにすると、7時間を底に睡眠時間が長くなればなるほど、また短くなればなるほど死亡率が上がるU字型のカーブを描きます。そして、睡眠時間と高血圧の発症率との関係を示したものや、抑うつ症の発症率との関係を示したものでも、同じようなU字型のカーブを描くグラフになります。睡眠時間が7時間の人の方が、それより少ない人はもとより、長い人に対しても健康被害リスクが低いことは確かなようです。
|
脳は膨大なエネルギーを消耗する器官で、そのエネルギー源はブドウ糖です。脳は体の2%程度の重さしかないのにも関わらず、エネルギー消費量は体全体の約20%もあり、非常にエネルギーを使う器官なのです。人が1日に7時間も睡眠を必要とするのは、多大な情報処理によってオーバーヒートした脳を休ませるために必要な時間なのです。
|
マガジン表紙へ
|