しっかり覚えておこう…デング熱の基礎知識


どんな蚊に注意が必要?

日本国内で感染したデング熱患者が約70年ぶりに出ました。デングウイルスによって起こる感染症で、このウイルスをもつ「ネッタイシマカ」と「ヒトスジシマカ」に刺されることで人に感染します。日本に生息している蚊は「ヒトスジシマカ」だけですが、北海道を除く日本の至る所に生息しています。

どのように伝染する?

このウイルスが体内に入っても症状が出るのは10〜50%の人で、人から人への感染はありません。ただし、デングウイルスにかかった人を別の蚊が刺すと、その蚊にデングウイルスが移り、その蚊に刺された人にデングウイルスが伝染します。ヒトスジシマカの活動範囲は50〜100mですが、人が運んだり、物に付いて運ばれたりして、それ以上の距離を移動することは十分あり得ます。

潜伏期間と症状は?

蚊に刺されてから発症までの潜伏期間は2〜15日と幅広いですが、多くは1週間以内です。発症すれば、ほぼ発熱して38度以上の高熱となります。その他の症状としては、頭痛や関節の痛みなどです。デングウイルスに対する特効薬はないので、症状に対する対症療法が中心になります。発熱時には解熱薬を使用して、水分を十分に補給します。通常は発病から2〜7日で解熱して治ります。

重症例は?

感染者の1〜5%の割合で「重症型デング」が見られます。解熱する時期に突然興奮状態になって、発汗して四肢が冷たくなります。さらに鼻血や血便などの出血がでます。世界的な統計では「重症型デング」の致死率は20%以上ですが、輸血など適切な治療をすることで致死率は1%未満になります。海外の流行地(東南アジア・南アジア・中南米など)で感染して帰国した患者が、日本で毎年200例ほどありますが、2006年から2010年までに日本内で診断された患者での死亡例はありません。

   

マガジン表紙へ