前立腺ガン…賛否分かれるPSA検診


PSAとは?

PSAとは、前立腺に特異的なタンパク質の一種で、健康な人の血液中にも存在します。前立腺の病気になると血液中に流出し、血液内にPSAが増加します。ですから、血液検査でPSA値が高いほど、前立腺の病気が疑われるのです。

PSAの良い点と悪い点

PSA検診は、検査を受診することで転移ガンに進行する危険率が下がるという利益があります。その反面、死亡に影響しないようなガンが発見され、過剰診断や過剰治療が行われる可能性がでてしまうという不利益も存在します。PSA検診を受診する際には、利益と不利益をきちんと考えてからにしましょう。

同時期に、正反対の研究結果

PSA検診の評価は、実は専門家の間でも賛否が分かれています。「死亡率が20%低下した」と報告されている調査があります。その一方で、「検診を受けても受けなくても全く変わらない」という調査結果も出ています。相反する結果が色々と出ており、同じ医学雑誌に同時に掲載されたケースもあるほどです。

多少高い場合には、経過観察の選択も

PSA検査での基準値は4ナノグラムです。ただし、それを超えたからといって、ただちに「ガン」とは言えません。PSA値は、前立腺ガンだけでなく、前立腺肥大症・前立腺炎などによっても上昇します。その他、もともとの前立腺の大きさが大きければ、PSA値が高めに出ます。PSA値が4〜10未満では、ガンの確率は25〜30%と推測されます。そこで、この程度のPSA値では、すぐに生検せずに、経過観察で数カ月おきにPSA値を測るという選択肢も十分に考えられます。

※生検
最終的にガンの診断をするには、精密な検査が必要になります。前立腺に針を刺して組織をとり、顕微鏡で調べる検査を、生検と呼びます。

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