胸部エックス線検査は、何のため?


肺の検査というと、多くの人が思い浮かべるのが、胸部エックス線検査です。そして、「何のために?」と問われれば、肺ガン早期発見のためと答えるでしょう。しかし、それは本当に正しいのでしょうか?

ガン死亡、肺ガンがトップ

日本では、新たに肺ガンにかかる人が、1年間で6万人を超えており、半数以上が進行した状態で見つかっています。その結果、ガンによる死亡数は、男性では肺ガンが1位、女性でも3位で、男女を合わせると、肺ガンで死亡する人の数が最も多くなっています。

肺ガンのハイリスク群

そして、次の項目に1つでも該当する人は、肺ガン発症の危険性が高い「ハイリスク群」で、年に1回の定期検診を受けるのが望ましいとされます。
50歳以上の人
「1日の喫煙本数×喫煙年数」が400以上
咳や痰(タン)が2週間以上続く
血痰が出る

エックス線の効果に疑問

しかし実際、集団検診での胸部エックス線を調べた場合、ガンが2センチくらいにならないと見つからないと言われます。しかも、ガンが心臓の裏側などにあると、影が重なって、さらに見つけにくくなります。肺ガン早期発見のための胸部エックス線の効果については、かなり疑問視されているのです。

結核などの発見に役立つかも

ただし、胸部エックス線検査は、肺ガン以外の病気の早期発見に役立つ場合もあります。例えば、結核です。かつて国民病と言われた結核は、予防策の義務化や治療薬の開発で、発症率及び死亡率を大幅に減らすことに成功し、現在では、過去の病気として認識されています。しかし実は現在でも、日本で新たに結核にかかる人は、年間3万人近くにもなります。

   

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