現代人に足りない食物繊維


以前は“不要物”

食物繊維は、タンパク質やビタミン・ミネラルなどと違って、身体の構成成分やエネルギー源とならないため、以前は栄養にならない不要なものとされていました。しかし現在では、栄養素の吸収をゆるやかにしたり、有害な物質を排出するなどの作用が認められて、機能性成分として重要視されています。

1970年代から注目

食物繊維が注目されるようになったのは、1970年代からです。イギリスの医師が、ヨーロッパ人とアフリカ原住民とを比較して、食物繊維の少ない食品、すなわち高度に精製された食品の摂取が多いと、大腸ガン発生の危険が高まるとの仮説を提唱してからなのです。

日本人の摂取量は減り続け

皮肉なことに、食物繊維が注目される前の日本人は、穀類や豆、イモなどが主体で、食物繊維が十分に摂れる食生活をしていました。例えば、1955年頃の1日当たりの食物繊維の摂取量は22g程度あったようです。食物繊維の目標摂取量は1日当たり20〜25gですので、十分に足りていたのです。ところが、近年の食生活の欧米化で肉や乳製品などの摂取量が増え、食物繊維の摂取量は減り続けているのです。

第6の栄養素「食物繊維」

現在では食物繊維は、五大栄養素(糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル)に続く「第6の栄養素」と呼ばれるほど重要視されています。にもかかわらず、日本人の摂取量は減り続け、現在では1日当たり15g程度、20〜30代の若年層では12g程度にまで落ち込んでいます。あまりに必要量(目安量)とかけ離れているため、厚生労働省では、実際の摂取量と目安量の間に「目標量」を設定し、いわば手の届きやすいところに目標を下げた形になっている始末です。

   

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