女性は「小さな男性」だった!


性差医療とは

医療の世界で最近使われるようになった言葉に「性差医療」というものがあります。性差を重視して適切な診断と治療を進めていこうというのが「性差医療」です。この考え方は、男女の性差を考慮せず画一的に施行されてきた、これまでの医療に対する反省から生じたもので、1990年代よりアメリカを中心に広がってきています。

女性は「小さな男性」

これまでの医学では、女性は「小さい男性」と位置づけられてきました。生殖機能に関しては、男性と女性に大きな違いがあるとされてきましたが、そうしたことと関わりのないほとんどの病気は、発症の仕組み・予防法・治療法などに、男女の違いはないと考えられてきたのです。体格の差を考慮して、女性には薬の投薬量を男性より少なめにするといった程度のことしか行われてきませんでした。

研究対象は男性

月経・妊娠・出産などによるホルモンバランスの変動がない男性の方が都合がよいという点で、長期にわたって行われる医学研究には、男性が調査対象となることが多かったのです。女性は、生活習慣病・風邪・胃かいようなど、ほとんどの病気について、男性を対象とした研究から導き出された予防法や治療法を適用されてきたのです。

女性外来や男性外来の出現

男女差に注目した「性差医療」は、1990年代後半から大きく進展してきた新しい分野で、まだ不明なことが多いのも事実です。ただし、男性と女性では、病気の発症メカニズムだけでなく、効果的な予防法などでも、かなり異なることが最新の研究で明らかになっています。最近では、女性の体と心をトータルに診る「女性外来」が見られるようになり、更に、それに対応するように、男性を対象とする「男性外来」もできています。

   

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