あまりの件数に…救急車「軽傷お断り」?


救急車でトリアージ制度を導入

東京消防庁では2007年6月から、トリアージ制度の試行を行なうことになりました。トリアージとは「選別」の意味で、救急隊が現場で明らかに緊急性が低いと判断した患者に対して、自分で病院に行くことを進める制度です。救急車出動件数が急増している現状から、消防庁が出した苦肉の策といえます。

急増する救急車の出動件数

搬送しなかった患者の容態急変を懸念する声もありますが、仕方のない一面もあります。東京消防庁の救急車の出動件数は、毎年2〜3万件のペースで増えていて、2006年には約69万件にのぼり、10年前に比べて約22万件も増えています。その影響で現場への到着時間が遅れるようになり、現在の平均到着時間は6分10秒で、10年前より50秒も遅くなっています。

トリアージ対象は手足のケガのみ

実際に「交通手段がなかった」との理由で救急車を要請する人も少なくないのです。このため東京消防庁では、2005年から救急隊が搬送の必要性を判断できる基準づくりを進めてきました。その結果、対象を手足のケガなどに限定し、かつ判定にばらつきが出ないよう判定シートを持参するよう取り決めをして、救急隊のトリアージによる容態急変の心配はないように配慮したそうです。

ドクターヘリは・・・導入進まず

一方、へき地などでの患者搬送に効果が期待されるドクターヘリ。ヘリコプターに医師が同乗して救急患者を搬送するシステムで、搬送時間が短い上に搬送中も医師が対応できることから、治療成績が向上すると期待されています。実際に、救急車を使って運んだ患者よりも入院日数が短くなっているという調査結果も出ています。ただし、年間経費が1機あたり約2億円という高額コストがネックとなり、国の半額補助制度があるにもかかわらず、導入する自治体は10道県にとどまっています。

  


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