潜在患者2000万人! 慢性腎臓病


腎臓は大切な器官

腎臓は老廃物をこす機能や血圧を調整するなど重要な働きがあります。腎臓内の糸球体で、尿酸など不要な物質や余分な水分がろ過されます。糸球体のろ過率は、健康な人の場合は毎分100mlですが、機能が衰えて毎分60mlとなると「慢性腎臓病」と診断されます。

世界基準では2000万人の患者

米国の基準ですが、これをそのまま日本人に当てはめると約2000万人が相当します。ただしアジア人は、欧米人と比較して遺伝的にろ過機能が低いと言われており、それを考慮して毎分50mlと基準を設定しても約400万人、つまり25人に1人は「慢性腎臓病」ということになります。腎臓病は、高血圧や糖尿病などの合併症を引き起こしやすく、心臓病のリスクも高くなります。早期発見・早期治療・予防はとても大切です。

透析の医療費は年間1兆2000億円

腎不全治療のための人工透析を始める患者は毎年12000人で、全体では約25万人にのぼります。透析のための医療費は患者1人あたり1年間で約500万円かかり、全体では年間約1兆2000億円もかかってしまうのです。腎臓病を早期に発見し治療することで透析患者を減少できれば、医療費の大幅抑制につなげることもできます。

早期発見・早期治療・予防が大切

早期に「慢性腎臓病」を発見できれば、食事から摂るタンパク質の量を制限したり、薬を飲んだりすることで症状の進行を抑えることができます。しかし、現状では「慢性腎臓病」と診断されても、専門医のいない診療所では適切な治療や指導が難しいこともあります。腎臓学会が明確な診療指針を作り、早期発見・早期治療・予防によって透析患者の増加を抑えようとする試みが、現在始まっています。

    

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