胸部X線検診 廃止のはずが続行・・・


職場検診の胸部X線 40歳以上に限定

職場の定期健康診断で年1回の受診が義務づけられている「胸部エックス線検査」について、厚生労働省の検討会は、義務の対象を原則40歳以上に限るとする最終報告をまとめました。今後設置する研究班でエックス線検査の有効性を詳細に調査して、早ければ2008年度から実施されます。

当初は廃止される方向で検討

40歳以下の人は大丈夫なのだろうか?と不安に思う方がいるかもしれません。しかし、実は不安に思わなければならないのは、検診が続行される40歳以上の方々かもしれません。実はもともと厚生労働省は、胸部エックス線検査の法的義務付けを廃止する方向だったのです。胸部エックス線検査に関しては、日本以外の諸外国ではその有効性を否定されています。日本においても有効であるという調査結果は出ていないのです。

諸外国では危険性を指摘

さらに欧米諸国では、エックス線検査は診断被爆の危険があると指摘され「害あっても益なし」とされているのです。(エックス線検査の危険性については、過去コラム「胸部レントゲン検査は危険がいっぱい?」をお読み下さい。)しかし、日本における職場検診において、胸部エックス線検査を廃止することは、業界では数千億円規模の影響が出ると言われています。

年齢制限は妥協の産物?

検討会では「有効だという証拠もないが、有効でないとの立証もされていない」と意見が出されるなど、医師側は相当に反発してきました。こうしたことを受け、厚労省と業界側の妥協点として、一般的に呼吸器や循環器疾患の発症頻度が高い中高年に絞って実施することになったようです。検診自体の有効性も分かっていないのに、役所と業界の妥協で事が決められ、実際に検診を受ける立場の人たちが置き去りにされてしまっているようです。

  


マガジン表紙へ