前立腺ガン腫瘍マーカー「PSA」の幻想


中高年の救世主「PSA」

何人か集まればそれぞれの不健康自慢を話し出す・・・そんな50代以上の人には既におなじみの「PSA」。前立腺ガンの腫瘍マーカーとして知られており「PSAはガン早期発見の救世主」と信じている人も多いでしょう。しかし残念ながら、それは幻想かもしれません。

最初に絶賛した研究者が否定し始めた

PSAは欧米で80年代末に前立腺ガンの腫瘍マーカーとして脚光をあびました。しかし、最近ではPSAの意義を疑問視する声がたくさん出てきています。実は最初にPSAを理想的マーカーとして絶賛した研究者が、最近「PSAの役割はもう終わった」という論文を発表したのです。「PSAは前立腺ガンではなく前立腺肥大のマーカー」だというのです。

米国では男性の8割に前立腺ガン

米国では65歳以上の男性の8割に前立腺ガンが潜んでおり、PSAの数値が上がる人も上がらない人も前立腺ガンを持っているのです。つまり、前立腺ガンを持っている人だけがPSA数値が上がるのではなく、PSA数値が上がった人を調べると前立腺ガンを持っていたという事なのです。

専門家の意見も真っ二つ

PSA検診の有効性を主張する人は「米国では80年代末からPSA検診が広まり、多くの早期前立腺ガンが発見され、90年代に前立腺ガンによる死亡数が減り始めた」と言います。しかし、実は検診がない英国でも同じように90年代前半から死亡数が減り始めているのです。PSA検診が有効かどうかについては、専門家の意見も二つに分かれ、結論が出ていないのが現状です。

  


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