今さら始めるの?!・・「医療ミス」医師の再教育


今まで「再教育」制度はなかった

昨年、厚生労働省は、医療ミスで業務停止処分を受けた医師や看護師に対し、業務復帰前に「再教育を義務付ける方針」を決めたと発表しました。それは良いことですが、よくよく考えてみれば「今まで問題を起こした医師や看護師に対して、そうした再教育がされていなかった!」ということであり、その方が驚きといえます。

医療事故のほとんどは「医療ミス」

10年間で約750件の医療事故の原因を鑑定した「医療事故調査会」によれば、医療ミスと判断されたものは約75%にのぼり、医療ミスの可能性を排除できない約10%の案件も加えると、医療事故のうちの約85%が「医療ミス」によるものとなります。しかも、その一番の原因は「医療知識・技術の未熟」によるものなのです。

「再教育」が骨抜きになる可能性も・・

ただし、現在検討されている「再教育」は、処分された医師“自らが”「研修計画書を作成」し、“自らが”「助言指導者」を選任し、その助言指導者との面談や技術指導を受け、修了時に厚労省に報告書を提出するといった内容になっています。このため、処分された医師が、親しい医師を助言指導者に選んだり、出身大学や所属医療機関で研修を受けたりすれば「馴れ合いから評価が甘くなり再教育の意味がなくなる」との指摘もされています。

きちんと情報公開されるか、今後も注目

元々、医師の処分には「免許取消」か「業務停止」しかなく、その件数は非常に少なく、多くても両方合わせて年間50件でした。今後は「戒告」処分を新設し、再教育を課す医師の範囲を広げることにしています。また、07年4月の導入を目指して現在、処分医師の氏名と処分内容をインターネット上に公開することなどが議論されています。こうした情報公開がきちんと法制化されていくかどうかにも注目です。

 


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