飽食の時代に「低栄養」?(特集:タンパク質)


高齢者の低栄養が増えている

高齢者には「肉や脂肪を含むものを控えて野菜中心の食生活がよい」という考えが一般的に広く定着していますが、実はそこに問題がひそんでいます。最近では高齢者の「低栄養」という言葉が聞かれるようになりました。

タンパク質はとても大切

高齢になると不足する栄養素がタンパク質です。私たちの身体は、細胞も筋肉も内臓も、すべてタンパク質から出来ています。ですから、タンパク質はとても大切な成分なのです。タンパク質には植物性と動物性があり、植物性タンパク質の代表は大豆製品で、豆腐、納豆、味噌などの食品で、これらは高齢者でもわりと不足することがないと言われています。

タンパク質は、動物性と植物性を1対1で

動物性タンパク質は、肉、魚、卵、乳製品に含まれており、高齢者には不足しがちなタンパク質です。動物性タンパク質は必須アミノ酸をバランス良く含んでいますが、植物性タンパク質の場合、1〜2種類の必須アミノ酸が不足したり、あるいは必要量に満たないこともあるので、タンパク質は、動物性と植物性をほぼ等しく(1対1の割合で)摂取するのが望ましいのです。

タンパク質が少ないと死亡率が高い

一度アミノ酸に分解された後に再合成されるタンパク質のひとつにアルブミンという物質があります。このアルブミンは、歳とともに血中濃度が低下していきます。血液1デシリットル(dl)中に4g程度含まれているものですが、最近の高齢者を対象にした研究で、「3.8g以下/dlの人の死亡率は、3.9g/dl以上の人の約2倍にもなる」ということが分かりました。

  


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