悪用される「生活習慣病指導管理料」


生活習慣病には生活改善が一番のはずが・・・

高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病に対しての治療方法を尋ねられれば、大抵の医師が「まず食生活を含めた生活習慣の改善が行なわれるべき」と回答することでしょう。ところが現実は、丁寧にアドバイスする時間の余裕などはありません。せいぜい「もっと体重を落とした方が良いですよ」「脂肪の多いものをなるべく控えてください」など話す程度でしょう。

指導を促進するための「生活習慣病指導管理料」

医師が指導をしないのは、生活習慣や食生活の「指導」に診療報酬が支払われないからではないかということが言われてきました。生活習慣病には何よりも予防が大切という観点から、医療費の値上がりからマイナス査定の多かった最近の診療報酬改定には珍しく、生活習慣病の患者の生活習慣を指導するための診療報酬が追加されました。それが「生活習慣病指導管理料」です。

その診療報酬は、少なくとも月1万円

この診療報酬を得るためには、医師は、高脂血症、高血圧症、糖尿病などの患者を対象に、3ヵ月に一度「療養計画書」を発行し、患者の生活習慣や食生活の改善を行なっていくことが要求されているのです。その診療報酬は少なくとも月に1万円にはなります。

6割は「計画書」を渡されていない

ところが、20以上の健保組合が共同で実施した調査で、驚くべき実態が明らかにされました。その調査によれば、6割は計画書を受け取っておらず、3割は指導すら受けた覚えがないという回答。窓口でもらう領収書は総額だけを書いてある場合もあり、「生活習慣病指導管理料」を自分が取られていることを知らない人も多かったのです。

  


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