ケアしているつもりが逆効果 「耳そうじ」

3月3日は「耳の日」

耳のケアで思いつくのは「耳そうじ」かもしれません。しかし掃除のし過ぎは、かえって耳の健康を損ねる危険があります。専門家の間では過度な耳掃除の危険性が指摘されています。誤って鼓膜を傷つけたり、「耳垢栓塞(じこうせんそく)」を起こしたりする危険があります。

耳垢が奥に入ってしまう

「耳垢栓塞」は大量に耳垢がたまって起きることもありますが、多くは耳そうじの時に奥に押し込んだのが原因です。耳垢は耳垢腺からの分泌物やはがれ落ちた外耳道の表皮などが混ざり合ったもので、垢と呼ばれてはいますが、本来は身体にとって必要なものなのです。その役割の1つが抗菌作用で、耳垢の中には免役グロブリンAなどが含まれ、細菌の増殖を抑えて耳の中を守っています。耳垢が無いと感染を起こしやすくなり、外耳道湿疹や外耳道炎でかゆみや痛みが出ることもあります。

自然と外に出る仕組み

外耳道にはもともと自浄作用があって、耳垢は自然に外へ出て行くようになっています。外耳道の表皮は鼓膜から外側に向かって少しずつ移動し、1〜2か月かけて耳毛のところまで達し、耳垢腺からの分泌物と一緒になって耳垢となります。そして、食事やあくびなどでアゴを動かすたびに外側に移動して、やがて耳の外へと押し出されるのです。ですから、耳そうじをしなくても問題ないのです。

入り口から1センチまで

ただし、高齢になって自浄作用が衰えたり、外耳道が狭く曲がっていたりすると、耳垢が外に出にくい場合もあります。その場合でも、耳かきや綿棒を耳の奥まで入れずに、耳の入り口から1センチ程度を軽く掃除するだけにしましょう。耳垢清掃は健康保険がきくので、耳鼻科で掃除をしてもらうのがオススメです。

   

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