役立つ辛味は、しっかり分類して使おう


夏バテ予防には辛いもの

「夏バテ予防には辛いものを食べよう」と昔から言われてきたとおり、辛いものを食べて食欲を高めるという工夫は昔からされてきました。とは言っても、その特徴や効能を良く知らないと、かえって逆効果になってしまう場合もあります。辛味についてきちんと知っておくことが大切です。

そのメカニズム

辛いものを食べて消化器が辛さの刺激を受けると、自律神経に伝わります。自律神経は、胃腸の働きや、代謝や体温などの身体機能を調節していますが、辛味成分を摂ると、自律神経のうち身体を活発にさせる交感神経の働きが活性化します。一番の効果が発汗作用です。辛味成分を摂取すると、だんだん皮膚表面の体温が上がり、暑く感じてきて汗が出ます。この汗とともに体熱が逃げて、皮膚表面の温度は食べ始めた頃よりも下がってきます。この温度差によって爽やかさを感じるというメカニズムです。

トウガラシとワサビの違い

辛さには2つの種類があります。トウガラシのように、食べた後に口の中が「カーッ」と熱くなるタイプと、ワサビのように鼻に「ツーン」と刺激がくるタイプです。「ツーン」とくるタイプには、ワサビの他にカラシやニンニクなどがあります。「カーッ」となるタイプは水や加熱に強いため、カレーや麻婆豆腐などの料理に入れて加熱しても辛さは変わりません。一方「ツーン」となるタイプのワサビなどは、加熱すると辛さが弱まります。

胃腸でも同じことが起きている

これと同じことが胃腸の中でも起きているのです。「カーッ」となるタイプのスパイスは胃腸で分解されにくく、口から肛門までの粘膜に一貫して刺激的に働くので、翌朝の排便に影響が出る場合もあるのです。一方、ワサビは加熱すると辛さが弱まり、水によって分解されるので、長時間刺激的には働かず、胃の血流を良くして消化を助け、食欲を増進しやすいです。ただし、トウガラシに含まれるカプサイシンほど発汗作用が期待できません。2種類の辛味をうまく使って夏の食事対策に役立てましょう。

    

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