秋冬に備えて〜きちんとした知識と準備を〜


新たな運用指針…緩和に疑問の声も

厚生労働省は6月19日に、新型インフルエンザに対する新たな運用指針を発表しました。その骨子は以下の通りです。
◇患者は、原則的に自宅で療養
◇原則的に、全医療機関で外来を受け付け(待合室を分ける)
集団発生が疑われる以外は、新型を確定するための遺伝子検査をしない

季節性インフルエンザ対策にかなり近づけたもので、大幅な方針転換と言えます。しかし、地方自治体からは「待合室設置などに対応できない診療所が多い」、「感染が疑われるのが1人なら検査しないというのでは、不安が広がる」など、疑問の声が上がっています。

緊張感かける自治体の対応

自治体側でも、現場の緊張感が欠けていると実感される事態が起きています。奈良県在住で東京を旅行中の男性に、新型インフルエンザ感染が確認されましたが、東京都では「自宅療養可能」とし、男性は新幹線の普通車で帰宅したのです。周りの人に感染させやすい公共交通機関を利用させない、といった措置を取るべきだったと思われます。

身を守るために〜「正しい知識」と「冷静な備え」〜

当初は、いきなり発生した新型インフルエンザに、政府も国民も過剰反応しすぎた感がありました。その反動として、少々乱暴な例えかもしれませんが、現在はまるで“祭りの後”のような感じです。多くの人が、「騒ぎすぎた。新型でも、たいしたことない。季節性と同じに考えればいい。」と、思っているのではないでしょうか?しかし、それは間違ったことなのです。

怖がりすぎるのは良くありませんが、やはり新型インフルエンザに対しては、季節性とは違った、きちんとした対応をすべきでしょう。

今回のことで、ハードとソフトの両面で、政府や医療機関の限界が見えたのは、まぎれもない事実です。“自分や家族、周りの大切な人を守るのは自分だけ”という気構えと、そのために必要な備えをするという、1人1人の自覚が大切なのです。

    

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