いつまで続く?事故隠しの体質


大病院には事故報告を義務付け

厚生労働省は2004年10月から、大学病院、国立病院機構傘下の病院、国立高度専門医療センターなどに対して、医療事故報告を義務付けています。病室や手術室など事故の発生場所、原因、医師や看護師など当事者の職種、経験年数などのデータを収集、分析し、再発防止に役立てるために行なわれています。

いやに数字が少ない国公立系病院

報告のあった病院の平均報告件数では、私立が13.9件だったのに対し、国公立系は4.2件でした。ある医療専門家は「医療事故の発生頻度は国公立も私立も変わらないはずなのに、報告にこれだけの差が出るのはおかしい。私立病院では、事故を隠せば経営的なダメージを受けることを学んできたため、正直に報告したケースが多いのではないか」と分析しています。

医療事故に関する全国データがない!

アメリカの医療事故件数は、1年間に10万〜20万件と言われています。これに対し、日本ではどの程度なのでしょうか?上記の事故報告義務のある病院を対象にした報告件数(報告数1063件)や医療過誤事件提訴数(2003年987件)は出ていますが、それが全てであるはずがありません。では「全国規模では何件くらい医療事故が起きているのか?」というと、実はデータがないのです。こんなことは他の先進国では有り得ないことと言われています。

調査に対しても非協力的な病院が4割

そのため厚生労働省は2003年から2年かけて、初の全国調査を実施し始めました。無作為に選んだ全国の200床以上の病院30ヶ所を対象に、入院患者7500人のカルテを、外部の看護師と医師が分析する予定でした。ところが無作為に選ばれた30病院中の4割の病院が調査に協力せず、発生頻度や事故の傾向などを分析するのが難しくなっている状態です。