臨床研修・・・経験させると逆効果?


2004年度から新しい臨床研修制度

医師免許を手にした医師に幅広い診察能力を習得させる臨床研修が2004年度から義務化されました。新人医師は、今までは医学部卒業後もその付属の大学病院で経験を積むことが多かったのですが、この研修制度により全国の病院から研修先を自由に選べるシステムになりました

希望を変える新人医師が3人に1人

こうした中で問題も出てきています。必修化された臨床研修を終えた医師の3人に1人が、研修の前後で志望する診療科を変えていることが厚生労働省の全国調査で分かりました。実際に体験してみて「大変だった」という理由で診療科を変更する医師も多くなっています。特に小児科や産婦人科でそうした理由が増えているようです。

都心の眼科や皮膚科に新人が集まる

実際の研修で診療科によって勤務の厳しさに違いがあることを知り、楽な診療科へ流れる医師が増えたという一面があります。例えば、コンタクトレンズ外来などがある都心の眼科に10人以上の新人が集まる一方、地方の小児科には1人も新人が来ないなどといった偏在があるのです。その他、この研修の必修科に含まれなかった脳神経外科の希望者数も2割減ったなどということもあるようです。

7人に1人が週90時間以上の労働

ただし、「楽な診療科に流れる」といって一方的に新人医師を批判するのも考えものです。ある調査によれば、研修医の7人に1人は週90時間以上の激務を強いられています。週に90時間以上の勤務では睡眠時間を削ることになり、医療ミスを起こしやすくなることも分かっています。研修医の労働時間を80時間に制限している米国を見習って、日本もこうした点は改善していくべきでしょう。