ヒジキにヒ素が?


イギリス食品庁の勧告

2004年夏、英国食品基準庁(FSA、以下FSAと記す)が、ヒジキの摂取をやめるよう勧告しました。FSAによれば、「ヒジキには、ガンの発症リスクを高めるとされる無機ヒ素が含まれていて、ヒジキを摂取すると、無機ヒ素の1日摂取許容量を大幅に超えてしまう」としています。

厚生労働省の見解

このFSAの発表を受け、厚生労働省は、「1日あたり4.7g以上(体重50kgとして)を連日摂取しなければ、世界保健機関(WHO)の規定以下で、健康リスクを高めることはない」と発表。たしかに、「ヒジキの生産量と輸出入量から推定した、国民一人当たりのヒジキ摂取量は、1日あたり0.9gに過ぎない」という事実からすると、問題はないのかもしれません。

1回に食べる量を考えると

しかし、ヒジキを食べる場合、食卓に出る量は決して少量ではありません。煮物1人前のヒジキは、水に戻した状態では30〜90g程度にもなります。これは、0.9gの30〜100倍にも相当し、それを考えれば決して安穏とはしていられません。

特に妊婦と幼児は要注意

妊娠女性が摂取すると、速やかに胎児に移行するので注意が必要です。動物実験の段階ですが、無機ヒ素の摂取で、胎児に奇形や脳障害を引き起こしているケースが報告されています。また、3歳未満の幼児も、脳の血管が未熟で影響を受けやすいので注意が必要です。

ヒジキの栄養価が高いのは事実

ヒジキはカルシウムや鉄分など、身体に良いものを多く含んでいるのも事実。週1回程度、小鉢1杯食べる分には問題がないと言えます。というのも、無機ヒ素の体内半減期は約28時間、連日摂取すればヒ素が蓄積してしまいますが、数日間あければ、こうした影響は避けることが出来るのです。